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国際ロータリー 第2580地区中央分区

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第一次世界大戦から110年~第一次世界大戦と日本

卓話 公開日 :

「第一次世界大戦から110年~第一次世界大戦と日本」

卓話者:公認会計士 榎本孝之 会員

江戸時代は鎖国をしていたという知識は周知ですが200年以上外国と戦争をしていないと言う事実はあまり語られていません。その200年にわたる泰平の眠りを覚ましたのが1853年のペリー来航です。

江戸時代の日本は侍の支配する国すなわち軍人国家ですから、朝野共に彼我の戦力差を直ぐに認識し対抗手段を取る必要性を感じます。その方法の一つとして政治体制の刷新、今日では明治維新と呼ばれる改革が行われた訳ですが、社会制度・軍制の改革は一貫して進められ、1905年の日露戦争の終結をもってペリー来航以来の危機を克服しました。

その9年後に第一次世界大戦が勃発し、日英同盟の関係から日本も参戦します。主戦場はヨーロッパで4年間の戦争中の戦死者は852万人にのぼりヨーロッパは荒廃しました。代わって台頭してきたのは、債権大国となったアメリカと、1915年の「ロンドン宣言(後の5ヵ国宣言)」に加入して5大国の一員となった日本です。

開戦から1年足らずで戦後の国際秩序再編を見通し、この宣言に加入したことは卓見であり日本外交の金字塔とも評価されてしかるべきかと思いますが、残念ながら今日では余り高い評価はされていないようです。

ただ折角影響力ある大国として講和会議(ヴェルサイユ会議)に臨んだ割には「サイレントパートナー」に徹し、日本の描く世界のグランドデザインを示せなかったことは残念ですが、その様なデザインや国家戦略と言うものをそもそも持ち合わせていなかったのでしょう。

日英同盟の存在と日露戦争の勝利により、国防上の安全な環境にすっかり浸ってしまい、「今後の日本の安全保障」についての思考が停止してしまった感があります。国際関係の変化への対応、例えば日英同盟が無くなったらどうしようかと考えないし、今後の戦争が総力戦になるのが大戦で分かったのに、対応を真面目に取り組んでいません。

ロシアを代表とする列国の侵略の恐怖に真剣に向き合い対策を考えてきた明治時代と全く別の国になってしまった様です。最近「平和ボケ」と言う言葉を耳にしますが、その萌芽は20世紀初頭にあったのだと思います。「坂の上の雲」を目指して懸命に走り、遂に到達して余りの絶景に我を忘れて寝込んでしまった、そんな印象です。

 

卓話公開日 2024年 10月7日

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